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首飾り・チョーカーの歴史【襟元に込められた意味】

  • 7月23日
  • 読了時間: 4分

青い花柄の服を着た人物の首元の接写。金色の細工が施されたネックレスとペンダントが映え、静かな雰囲気。

世界最古の装身具

数ある装身具の中で、もっとも古い起源を持つとされるのが、首に着けるもの、すなわちネックレスだ。


その始まりは驚くほど素朴だった。植物を縄のように編み込んだものに、貝殻や動物の骨、牙を通して身につける。それが、首飾りの原型だったとされる。日本でも、後期旧石器時代にまで遡る石や琥珀を加工した装身具が見つかっており、首を飾るという行為が、人類にとってどれほど古くからの営みであったかを物語っている。



何のために、首を飾ったのか

初期の首飾りは、単なる美しさのためだけの品ではなかった。


狩猟の成果を誇るため、身分を証明するため、豊作や加護を願う呪術のため。首飾りは、装飾と実用、そして信仰が分かちがたく結びついた品だった。首という、生命に直結する急所を飾るという行為には、単なる装飾以上の意味が込められていたのだろう。


日本の古墳時代には、翡翠や瑪瑙、水晶、碧玉といった宝石を使った首飾りが、男女を問わず身につけられていた。これらは権力の象徴であると同時に、お守りとしての役割も担っていたとされる。



文明の発展とともに、豪華になる襟元

古代エジプトでは、王族たちが、フラットで幅の広い豪華な首飾りを身につけた。ゴールドに文様を施したり、宝石のビーズを繋げたりした、権威を示すための装身具だ。


中世ヨーロッパに入ると、王族や聖職者たちが、太く幅のある長いチェーンを身につけるようになる。首元を飾るという行為は、時代を経るごとに、より複雑で豪華な様式へと洗練されていった。



チョーカー【首に沿う、もうひとつの系譜】

首飾りの中でも、首にぴったりと沿う短いタイプは「チョーカー」と呼ばれる。この様式にも、独自の歴史がある。


チョーカーの記録は、1500年代にまで遡るとされる。イングランド王ヘンリー8世の妻、アン・ブーリンが「B」の文字が下がった真珠のチョーカーを身につけていたことは、肖像画にも残る有名な逸話だ。


しかし、チョーカーの歴史でもっとも印象的なのは、18世紀末のフランス革命の時代だろう。革命後のフランスでは、ギロチンによって命を落とした人々を偲び、人々が首に赤いリボンをきつく巻きつけるという風習が生まれた。装飾ではなく、追悼と記憶のための首飾り。この赤いリボンのチョーカーは、当時のイギリスにも伝わり、フランスの苦難を象徴するものとして広まっていったという。


美と権威の象徴として始まったチョーカーが、死者を悼むための品にもなる。首元を飾るという行為が、時に喜びを、時に悲しみを、同じ形式の中に宿してきたことがわかる。



なぜ、首なのか

腕や指と違い、首は生命の急所に近い部位だ。だからこそ、そこに何かを巻きつけるという行為には、他の装身具にはない緊張感が宿る。守るための装身具でありながら、同時に「差し出す」ような危うさもまとう。


儀礼具として首に着けられてきた品々の歴史を辿ると、この場所が単なる装飾の対象ではなく、常に何か特別な意味を託される場所であり続けてきたことが見えてくる。



首に、何を纏うか

古代の護符から、王侯の権威の証、革命の記憶まで。首飾りという小さな装身具は、その時代ごとに異なる意味を託されながら、人類の歴史とともに歩んできた。


何を、どのように首に纏うか。その選択には、いつの時代も、単なる美しさ以上の意志が込められている。


◆【関連する記録】


(首飾りが古くから担ってきた、護符としての役割)


(装身具に権威や証明の意味を込めるという、もうひとつの歴史)



StrangeArtifactでは、こうした歴史や意匠をもとに、革製品をひとつひとつ手作りしています。 商品はこちらからご覧いただけます。




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ストレンジアーティファクト主宰ツダイサオの近影写真、シルクハットをかぶりメガネをかけている。

著者:ツダイサオ(Tsuda Isao) 革で架空の遺物を再現するレザーアクセサリーブランド「StrangeArtifact」主宰。衣装・空間・3Dと領域を横断して世界観をかたちにするデザイナーであり、一般社団法人 日本スチームパンク協会の理事も務める。h.NAOTOやSheglitとのコラボレーション、各種メディアへの衣装提供など実績多数。





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