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宝野アリカ/ALI PROJECTの世界観【耽美と退廃の美学】

  • 6 日前
  • 読了時間: 4分


文語で紡がれる、耽美の世界

ALI PROJECT(アリ・プロジェクト)。宝野アリカ(ボーカル・作詞)と片倉三起也(作曲・編曲)による日本の音楽ユニットだ。


文語・漢語を主体とした硬質な歌詞、擬古調の声楽的なボーカル、そして退廃・幻想・世紀末という主題への一貫した傾倒。30年以上にわたり、徹底してブランディングされた独自の美学を貫いてきたこのユニットは、StrangeArtifactが大切にしている世界観と、もっとも深い部分で響き合う存在のひとつだ。



簡易年表

主な出来事

1985

宝野アリカと片倉三起也が「蟻プロジェクト」として活動開始

1988

アルバム『幻想庭園』でインディーズデビュー

1992

「ALI PROJECT」に改名、東芝EMIよりメジャーデビュー

1990年代後半

『コッペリアの柩』を機に楽曲が次第にダークな方向へ変化

2000

自主レーベル「ZAZOU Records」設立。アニメ主題歌で支持層拡大

2021〜2022

メジャーデビュー30周年。アルバム『Belle Époque(美しい時代)』発表

現在

コンセプトアルバム制作、ライブ活動を継続中

※ 30年以上活動を続けるユニットであり、本記事はその世界観の核にある耽美と退廃の美学に焦点を当てている。



ゴシック・アンド・ロリータから、深い闇へ

宝野アリカは高校生の頃から今でいう所のロリータ・ファッションの愛好家だったという。そのため、デビュー当初の楽曲には、ロリータをモチーフにした、優しく爽やかな世界観の曲が多かった。


しかし、楽曲「コッペリアの柩」を境に、その作風は次第に色濃いダークさを帯びていく。音楽性の変化に伴い、宝野自身のファッションへのアプローチも変わっていった。ゴシック・アンド・ロリータという枠を超え、広義のゴシック全体、和の意匠、エキゾティシズム、サイバー、デカダンス(退廃美)といった様式を、次々と自らの世界観に取り込んでいったのだ。


ひとつのスタイルに留まらず、耽美という核を保ちながら表現の幅を広げ続けてきた。それがALI PROJECTの歩みの特徴だと言える。



文学への深い傾倒

宝野アリカの作詞を特徴づけているのは、文語・漢語を多用した硬質な響きと、頽廃・幻想・神話世界・世紀末・エロティシズムといった主題への一貫した嗜好だ。


この傾向は、宝野自身が公言する文学的な影響と深く結びついている。三島由紀夫、中井英夫、澁澤龍彦、寺山修司、皆川博子、赤江瀑。日本の幻想文学・耽美文学を代表する作家たちへの傾倒を、宝野は自ら語っている。彼女の詩作には、これらの作家たちへのオマージュとしての側面も少なくない。


単に「耽美っぽい」雰囲気をまとうのではなく、その背後に確かな文学的な土壌を持っていること。これが、ALI PROJECTの世界観に独特の深みと説得力を与えている。



「美しい時代」というテーマ

2021年から2022年にかけて、ALI PROJECTはメジャーデビュー30周年を記念したアルバム『Belle Époque(ベル・エポック)』を発表した。


「Belle Époque」とは、フランス語で「美しい時代」を意味する言葉だ。宝野アリカ自身、このアルバムのテーマを「美しい時代」と語っている。耽美にして過激、精緻にして大胆。30年を経てなお洗練を続けるその音楽世界は、退廃と美が表裏一体であるという、ユニット結成以来変わらぬ哲学を、より高い完成度で体現したものだった。


歴史から学ぶべきことは多いはずなのに、人間は同じ過ちを繰り返す。そうした人間の業に対する眼差しと、それでも美しさを取り返そうとする意志。ALI PROJECTの楽曲には、しばしばこうした、滅びと再生のあわいを見つめる視線が流れている。



StrangeArtifactとの接点

ALI PROJECTが体現する耽美と退廃の世界観は、StrangeArtifactが大切にしている美意識と深く重なる。死と美、滅びと再生、そして物語性。架空の遺物商という世界観の根にあるのも、まさにこうした感覚だ。


ご縁あって、StrangeArtifactは、宝野アリカの写真集『繭百合、骨百合』に作品を提供させていただいた。長年その世界観に惹かれてきた者として、彼女の作品の一部に携わることができたのは、特別な経験だった。


退廃と美を、ひとつの装身具に込めるという当ブランドの営みは、ALI PROJECTが音楽と詩で描き続けてきた世界と、どこかで通じ合っているのかもしれない。



◆【関連する記録】


L'Arc〜en〜Cielの世界観と美学【耽美とゴシックの系譜をたどる】(同じく日本のロックシーンで耽美の美学を体現してきたバンド)


メメント・モリ【死を想え、の美学】(滅びと再生という、ALI PROJECTの楽曲にも流れるテーマの源流)


ゴシックとは何か【建築から美学まで】(宝野アリカが取り込んできた、広義のゴシックという様式そのもの)


退廃と美を、装身具に込めて。架空の世界から届いた遺物を。



StrangeArtifactでは、こうした歴史から生まれた遺物を、日々ひとつひとつかたちにしています。 新しい遺物や、世界観の断片は、Instagramで。



ストレンジアーティファクト主宰ツダイサオの近影写真、シルクハットをかぶりメガネをかけている。

著者:ツダイサオ(Tsuda Isao) 革で架空の遺物を再現するレザーアクセサリーブランド「StrangeArtifact」主宰。衣装・空間・3Dと領域を横断して世界観をかたちにするデザイナーであり、一般社団法人 日本スチームパンク協会の理事も務める。h.NAOTOやSheglitとのコラボレーション、各種メディアへの衣装提供など実績多数。






StrangeArtifact|架空の世界から届いた遺物を革に刻んで再現するレザーアクセサリーブランド

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